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2017年6月14日 (水)

新しい日本を創ろうよ③~江戸時代から学ぶ~

江戸時代の暮らしというとどのような生活をイメージするのでしょう。
             
江戸幕府、武家社会、参勤交代、士農工商、鎖国、米騒動、一揆や打ちこわし、あるいは歌舞伎、浮世絵、元禄文化などを思い浮かべ、概して江戸時代とは、武家を中心とした社会体制の下、400年間続いた平和な時代でありつつも、一部の人々を除いて、多くの人々はどちらかと言うと不自由であり、質素で貧しい暮らしを強いられてきたと思われる方が多いのではないでしょうか?
             
もちろんそれも真実の一面なのでしょう。けれどもそれだけではないようです。例えば渡辺京二さんの「
逝きし日の面影」を読むとそれとは別のイメージを思い浮かべずにはいられません。この本は幕末の日本に滞在した外国人の感想記を素材として、それらを集めて1冊の本としているのですが、そこからイメージできるのは抑圧された世界ではなく、まさにタイトルにある「失われた日本の面影」であり別世界なのです。

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庶民は粗末な服装を着ています。家も質素なつくりです。中にはほとんどモノがありません。けれどもわずかにある家具や食器類は外国人からすると信じられないほどしっかりしたものなのです。また大人も子供も好奇心が大変強く、西洋人の後ろをみんなこぞってついてきます。そして何かあるとすぐに笑い大変人懐っこくもあり、かつ礼儀正しさも持ち合わせているのです。
             
一例をあげてみると、人々の陽気さについて、
「この民族は笑い上戸で心の底まで陽気である。」(1867年<慶応3>ボーヴォワル)


「日本人ほど愉快になり易い人種は殆どあるまい。良いにせよ悪いにせよ、どんな冗談でも笑いこける。そして子供のように、笑い始めたとなると、理由もなく笑い続けるのである。」(1859年(安政6)頃リンダウ)
             
簡素さについて、
「日本人が他の東洋諸民族と異なる特性の一つは、奢侈贅沢に執着心を持たないことであって、非常に高貴な人々の館ですら、簡素、単純きわまるものである。すなわち、大広間にも備え付けの椅子、机、書斎などの備品がひとつもない。」(1859年頃カッティンディーケ)


「日本で貧者というと、ずい分貧しい方なのだが、どの文明人を見回しても、これほどわずかな収入で、かなりの生活的安楽を手にする国民はない。」(1884年(明治17)頃イライザ・シッドモア)
             
礼節について、
「われわれの部屋には錠もなく鍵もなく、解放されていて、宿所の近辺に群がっている付き添いの人たちは誰でも侵入できる。またわれわれは誰でも欲しくなるようなイギリスの珍奇な品をいくつも並べて置く。それでもいまだかつて、まったくとるに足らぬような品物さえ、何がなくなったとこぼしたためしがない。」(1858年頃オリファント)
             
もちろん日本の風景の美しさにも西洋人は驚かずにはいられません。美しく整備された郊外の田園風景、港の風景、どれもが西洋人にとっては母国以上に美しい景観であったようです。その風景と日本人の人柄から彼らはこの地をまるでパラダイスであるかのように思えたそうです。
             
「5マイルばかり散歩をした。ここの田園は大変美しい―いくつかの険しい火山堆があるが、できる限りの場所が全部段々畑になっていて、肥沃地と同様に開墾されている。これらの段畑中の或るものをつくるために、除岩作業に用いられた労働はけだし驚くべきものがある。」(1856年(安政3)ハリス)


「市街から田園へと気づかぬうちに映ってゆき、道路は次第に花咲く藤のしたかげの径となった。ついさっき天守閣の濠をみたしていた水は、曲がりくねった小川となり、つつじのトンネルの下から流れ出ていた。緑の楽園のただ中の、この蛇行する川ほど愛するべきものはない。ああ、日本のなんと美しくのどかなことか。」(ボーヴォワル)
             
その他いくつか抜き出してみると、
「日本の幕府は専横的封建主義の最たるものと呼ぶことができる。しかし同時に、かつて他のどんな国民も日本人ほど、封建的専横的な政府の下で幸福に生活し繁栄した所はないだろう。」(パンペリー)


「この独特で、比類するものもなく、スポイルされず、驚異的で魅惑的で、気立てのよい日本を描写しようとつとめながら、私はどんなにそれが描写しがたいか実感している。彼らのまっただなかでふた月暮らしてみて、私は日本に着いて二週間後に大胆にも述べたことを繰り返すほかない。すなわち、よき立ち振る舞いを愛するものにとって、この“日出ずる国”ほど、やすらぎに満ち、命をよみがえらせてくれ、古風な優雅があふれ、和やかで美しい礼儀が守られている国は、どこにも他にはありはしないのだということを。」(アーノルド)


「この風景の全体を見ても、細部を見ても、すべてが精神を鎮静させ、やさしい夢想で精神を和らげ、うっとりした休息の楽しみ以外の印象を与えない」(アンベール)

                      
さて彼の本を離れて、また別の面を見てみると、日本人は陽気さ礼節さだけでなく、外国人からすると相当小柄であった日本人が持つ力は相当のものであったようです。外国人が見たものではありませんが、(ネットでも話題になっていますが、)山形県の酒田市には米俵5俵を担ぎ上げる女性の写真と人形が展示されているそうです。その写真は昭和14年頃の写真だそうですが。それでは一体江戸時代農村の女性はどれほどの力があったのだろうかと思うのです。

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その証言等は(まだ)見つかってはいないようですが、もうひとつ
外国人によって記録されていることがあります。それは明治時代ドイツ人医師のベルクに記録されています。彼は東京から日光へ観光に行くことがあったのですが、1度目は馬で行き、途中馬を6度乗り換え14時間かかったそうです。2回目日光に行った際には、今度は人力車に乗って行ったのですが、その車夫は1人で14時間半で行ってしまったとのことです。当時の日本人は馬より凄い体力を持っていたのです。東京(駅)から日光(東照宮)までは直線距離にして約120キロあります。時速8キロ以上のスピードで(人を乗せた)人力車を走り続けたことになります。
             
             
このように江戸時代の日本は、(外国人から見ると)人々は欲望や執着とは程遠く、簡素な暮らしの中で、常に陽気で笑いが絶えない上に力持ち! 更には(西洋諸国よりも)美しく心和む風景を持つ国、まさに極東のパラダイスであったのです。
             
「古い日本は妖精の棲む小さくてかわいらしい不思議の国であった」(チェンバレン)


「この町でもっとも印象的なのは(そしてそれはわれわれ全員による日本での一般的観察であった)男も女も子どもも、みんな幸せそうで満足そうに見えるということだった。」(オズボーン)

            
それから150年。
江戸時代に比べると、日本人の平均寿命は驚異的に延び、誰もが長生きするようになりました。東京大阪間も3時間ほどで行くこともできます。世界中のものが手に入り、世界中の料理が食べられます。便利なグッズも100円で買えます。スイッチひとつでいつでもお笑い番組を見ることができます。遠くの友人といつでも話しをすることもできます。
             
信じられないほどの経済性と科学の発展をしてきた今の日本。男も女も子どももみんな幸せそうで、満足そうに見える国なのでしょうか?
            

日本の自殺率は世界各国でワースト6位(女性は3位)だそうです。アジアではワースト2位だそうです。国内で見ると15才~39才の5階級で死因の1位は自殺です。(2017年版自殺対策白書より)
             

日本の子供の貧困率は先進国(と呼ばれる国の中)では最悪レベルだそうです。6人に1人が貧困にあるとされます。(2012年子供の相対的貧困率16.3% 27年度版子ども・若者白書)
             
             
何だか夢も希望も持てなくなってしまった国のように思えます。本当に「逝きし世」「逝きし国」となってしまったのでしょうか。

             
それでも日本人には太古からの遺伝子、江戸時代の遺伝子が今も引き継がれていると信じたいです。だからもう一度「逝きし世の面影から」いくつか抜き出します。
             
「いつまでも悲しんでいられないのは日本人のきわだった特質の一つです。生きていることを喜びあうという風潮が強いせいでしょう。誰かの言葉に『自然がいつも明るく美しいところでは、住民はその風景に心がなごみ、明るく楽しくなる。』というのがありましたね。この国の人たちはまさにそれで、日本人はいつのまにかそういう自然に感化され、いつも陽気で見た目によいものを求めながら自分を深めていくのです。」(マーガレット・バラ)
             
「日本人とは驚嘆すべき国民である!今日午後、火災があってから三十六時間たつかたたぬかに、はや現場では、せいぜい板小屋と称すべき程度のものではあるが、千戸以上の家屋が、まるで地から生えたように立ち並んでいる。…女や子どもたちが三々五々小さい火を囲んですわり、タバコをふかしたりしゃべったりしている。かれらの顔には悲しみ跡形もない。まるで何事もなかったように、冗談をいったり笑ったりしている幾多の人々をみた。かき口説く女、寝床を欲しがる子供、はっきりと災難にうちひしがれている男などはどこにも見当たらない。」(ベルツ)
             

もしかすると現在はこの150年の膿だしなのかもしれません。そして、膿み出しのあとは再生です!
             
             

             
らいふあーと~僕らは地球のお世話係~
             

             
             

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