「お遍路」という不思議の旅へ出かけてみませんか?
先行き不透明な現代社会です。一歩足を踏み外すと、何かに飲み込まれてしまうようにも思います。その漠然とした不安を解消するがために、多くの人々が四国88ヶ所の遍路旅に出ています。
もう十年以上前のこととなりますが、30代前半の時に歩き遍路をしました。42日間かけて徳島の1番札所「霊山寺」から香川の88番札所「大窪寺」まで歩いたのですが、札所から札所の間にあるいくつかの番外寺を訪れたのを含めると、歩いた距離は約1300キロになります。
その間毎日旅日記を付けていたのですが、それを久しぶりに読み返してみると、お遍路の旅は見えない世界を感じる旅であったと思うのです。そこで今回は旅の間におこった不思議な出来事を書いてみたいと思います。
発心の阿波
12番札所の焼山寺を参拝した後、神山温泉の近くにある神社の境内にその日は泊まる(野宿する)こととしました。神社の拝殿で寝袋に入って寝ていたのですが、その日の深夜、ビュービューとものすごい強風が吹きつけ、その風の強さは付近のトタン屋根がバンバン音を立てるほどでした。その大きな音で目覚めたのですが、同時に何か私の身体の上1m辺りのところに魔物がやって来ており、グルグル回っているように感じました。けれどそこから下へは決して風が入って来ることはなく、ここから下へは少しも踏み込ませないというような不思議な力を感じたのです。そのお陰で私は安心して朝まで眠りにつくことができました。次の日再び歩いていると、途中に不動尊があり、最初は通り過ぎようとしたのですが、突然引き返したくなり、まるで導かれるようにその不動尊を訪れました。本堂でなんとなくそのお不動さんに昨晩は守られたような気がし、般若心経を唱えさせて頂きました。
鶴林寺から太龍寺を目指して山を登り始めた時に、振り返ると向こうの山の杉の木々が不動明王様のような形をしていました。不思議だなあと思い、山を登る途中途中で何度か振り返ってみたのですが、その度その不動明王様は私の方を向いており、まるでその不道明さまが私を守ってくれている気がしたのです。そして太龍寺では「」という石碑を見つけ、涙を流しました。
修行の土佐
毎日毎日20キロ、30キロ、時には50キロ以上歩いているとさすがに歩き疲れます。その日も歩き疲れ、もうこれ以上は歩くのは無理な状態となり、その場で寝てしまおうと座り込んでしまいました。するとどこからともなく「もうあと少し歩きなさい」と言われたような気がしました。そこで疲れ切った身体と脚に鞭打って立ち上がり、再び歩き始め、200mほど進むとなんと公園がありました。そこにはトイレと水道もあり、安心してテントを張り眠ることができたのです。
同じように土佐の海岸をフラフラと歩いていると、トイレと水道がある砂浜を見つけ、そこにテントを張り、キャンプをすることにしました。その日の夜眠っていると、夢の中に若き日の空海さんが現れたのです。彼(空海)は浜辺で焚き火をしながら、ずっとその炎を見つめていました。そこで目が覚め、起き上がりテントから浜辺へ出てみると、正面に月が出ており、その月が海を照らしてとてもきれいだったのです。
須崎にある番外の不動尊を訪れようと山の中を歩いていた時、そこに近づくにつれて心が騒ぎ出しました。それからだんだん歩く速度が速くなり、最後は走るように山を下りました。そして不動尊に到着すると「ここだ!」と直観的に感じると同時に、涙があふれ出てきたのです。この不動尊とは何か縁があったのでしょうか?そして修行の土佐を終えようとした際、遂にこれまでの無理がたたり膝の靭帯を痛めてしまいました。テーピングを膝から下に巻き付け何とか歩いていたのですが、激痛が走るようになり、もうこれ以上歩くことは無理だと思いました。そこで1日休養日を設け、宿で寝て過ごしたのですが、すると翌日まだ痛みは残っているもの再び(ゆっくりながら)歩けるようになり、結果最後まで歩き通すことができました。
菩提の伊予
宇和島にある公園でキャンプをすることになった時、たまたま同じくそこでキャンプをする一家と出会いました。その家族は車で88ヶ所参りをしていたのですが、ご主人が不動金縛りという数珠の結び方を教えてくれました。そこで自分で不動金縛りを結んでみたところ、エイッと結んだ途端に右の小指が金縛りにあったように動かなくなってしまいました。しばらく唖然として声も出せなかったのですが、数分後再び動くようになりました。小指だけでよかった…。
番外として石鎚山登山を終えて、下山は西の川コースを選んだのですが、途中登山道が十数メートルの大きな杉の倒木でふさがれていました。そこでその木を迂回していると足を滑らせそのまま滑り落ちてしまいました。そこから道に迷い、しばらく山の中をさまよう破目に陥りました。何度も足を滑らせながら、落ちながら、歩いていると、遂に2,3メートルの高さの滝に落ちそうになりました。落ちる~と思った瞬間バックパックの上に乗せていたテントに植物の蔓が引っ掛かり止まってくれました。その陰で下まで落ちずに助かり、やがて再び登山道を発見しました。
ということで、これらは旅のほんの一部なのですが、私にとってお遍路の旅は不思議な世界との出会いであり、不動明王さまと空海さんが守ってくれた旅だったのです。いつしかいつもそばに空海さんがいてくれるように感じ、旅の間ずっと約60ℓのバックパックがパンパンになるほど荷物を詰め込み、更にテントを乗っけた状態で歩いており、大変重いのですが、私はまるでその重さが空海さんを背中に乗っけて歩いている気でいたのです。「空海さんは1300年も奥の院で座禅を組んでいるのだから、きっと今では足も立たない状態だろう」と思い、それなら同行二人ということで背負っていってあげようと歩いていました。その為バックパックはいつも本堂まで背負って行っていました。
お遍路の旅は、自分を見つめ直す旅でもあり、不思議な世界と触れ合う旅でもあります。旅の途中には、出会いあり、感謝あり、涙ありで、きっとこれまでにない経験をすることができます。あなたも不思議な遍路旅に出て見られませんか?
らいふあーと~僕らは地球のお世話係
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